ポケットモンスターブラック
序~緑から黒へ
〇始まりはいつも、唐突に
ある日、六界が言った。
六「・・・イッシュ地方で、一から旅を始めることにした」
「「「「「「・・・はぁ?」」」」」」
いくらなんでも、唐突過ぎやしませんか。
尋「おい六――今、なんつった?」
六「イッシュ地方に行こうと思っている」
ほ「今、一からって言ったヨネ?」
六「ああ。オーキド博士の知り合いだという研究者に、話がついた。既に先方には連絡済だから、今月の中頃までには向かう」
乙「お主、いつの間に・・・」
秋「まー私は止めませんよー?別に今だっていてもいなくても同じようなもんだし」
ほ「たまには連絡入れてネ」
て「六さんいないと寂しいよぅ」
乙「大丈夫だとは思うが、気をつけるであるよ」
雅「頑張ってくださいね。応援してます」
だんっ
春「ちょっと待て!どうして皆普通に送り出そうとしているんだ!少しは誰か止めろ!」
尋「あー・・・やめとけってハル。止めて聞くと思うか?」
春「止めるな尋海っ!どうして決定稿の段階で伝えるんだ!一発殴りでもしなきゃ気がすまない!」
尋「落ち着けって。六にも色々あんだろ」
春「しかしっ」
尋「・・・考えてもみろ。俺っちらが旅に出て、そんなこんなでナナシマで定住して、惰性みたいな毎日だ。もうここにいたってやることがそうあるわけでもねえ・・・。トレーナーとして何か思うことがあったんだろ?俺っちらも、旅の中で強くなったんだ。人生、旅の始まりはナマステってな・・・!」
春(言っている意味がよくわからんが、したり顔が腹立つ・・・)
ほ「しかし、どうしていきなりイッシュ地方なのカネ」
秋「もしかしてこの前、朱鷺田カズタケが言ってたことに関係してますか?」
乙「ああ、やこちゃんがイッシュ地方に行くといっていた件であるか?」
て「えぇー!?やこちゃんも行っちゃうのぉ?」
尋「おい六・・・」
六「・・・なんだ?」
尋「まさかとは思うが、やこちゃんを後追って驚かせてやろうって、それだけの理由か?」
六「・・・後を追うんじゃない。先回りだ」
尋「・・・ハル、ちょっと六界のこと抑えてろ」
春「おう」
雅「待ってください!二人とも落ち着いて!」
ほ「お二人サーン、殴るなら一人一発までだからネー」
雅「ほるとさん、止めてくださいよ!」
秋「いいんじゃないですか?気がすまないなら殴らせてやっても」
尋「ちょっと表に出てくるぜ!」
春「ハイドロポンプまでなら許されるよな!」
雅「ちょ、この時期にそんなことしたら六界さん風邪ひいちゃいますよ!」
秋「風邪引いて寝込んだら出発できなくて丁度いいんじゃないですか?」
六界が抵抗しないのは、一応悪いと思っているからです。
〇送る(春佳と雅)
「全く、六界の奴は何を考えてるんだ・・・。がなり過ぎて喉が痛い・・・」
「大丈夫ですか?大分・・・まぁなんというか、ハッスルしてましたからね」
「まあな・・・」
「やっぱり、反対ですか?六界さんの旅立ち」
「僕は・・・別に旅に出るのを反対しているわけじゃない。この全部決まった段階で言い出したことに腹を立てているんだ」
「そう、ですね・・・」
「あいつはいつもそうだ。思っていることも、悩んでいることも、大事なことは何も言わないで抱え込む。しかも、それをおくびにも出さないからな」
「・・・・・・」
「・・・本当に、僕達を置いて旅に出るんだな。あいつ・・・」
「仕方ありませんよ。六界さんは、一度やると決めたら必ずその通りにする人です」
「・・・案外平気そうなんだな。もう少し感傷的かと思ったが」
「はぁ・・・そう見えますか」
「少なくとも、尋海よりはな。何か聞いていたのか?」
「いえ。でも、もしかしたら予感はあったのかもしれません」
「予感?」
「はっきりと言ってた訳じゃないけど。もう一回やり直してみたいって、前に言ってたから」
「やり直す、か・・・。僕は何も言えないな」
「多分、それは六界さんも同じなんです。『あいつらには、悪いことをした』って。だから、もう一回って、思うんでしょうね」
「・・・六界が言ったのか?それ」
「はい。本当は、言うなって言われたんですけど」
「・・・あいつがイッシュ地方に旅立つ前に、世界滅亡する」
「春佳さん」
「或いは、途中で船が沈む」
「春佳さん!」
「天変地異が起こる!確実に」
「春佳さんっ!落ち着いてください!」
「・・・はぁ」
「春佳さん。ぼくは、皆さんが何を思って、どういう風に旅をしていたのか、殆ど知りません」
「・・・・・・」
「でも、ぼく嬉しかったんです。良い思い出ばっかりじゃなくても、もう一回、って思うのは、やっぱり皆さんとの旅があってこそだと思うから」
「・・・なんだか、余計にどんな顔して送り出せばいいのかわからなくなるな・・・」
「普通で良いんですよ、きっと」
〇送る(尋海と六界)
「旅の支度、ってんなら手伝うぜ」
「・・・それには及ばん。大した支度もない」
「4年ぶりのスタートってわけか」
「・・・5年ぶり、だな」
「もうそんなになったのか。そんな前だったんだな!」
「・・・・・・」
「いやぁ、しかしひっでえ始まり方だったよなーアレは。てこなは勝手にどっか行くわ鳥に食われそうになるわで、ハルは木の洞に入ったまま威嚇してくるし、ほるとは我関せずだし、肝心のトレーナーは根性の曲がったガキだったしな」
「・・・自分のことを棚に上げるな。ずっと手綱を付けられていたのを、忘れたのか?」
「まぁ、そうだったよな。迷子防止の奴」
「目を離すと、直ぐにいなくなったからな」
「いや、だからってリードはねえだろ。あと、新しいポケモンが言うこと聞かなくてもアレやるなよ?ボールシャッフル」
「・・・尋海」
「んー?」
「すまない」
「・・・もう二度と聞けなそうな言葉だな」
「・・・・・・」
「わかってるから、んな顔すんなよ」
「後は、頼む」
「おー。まぁ、なんだ、お前も達者でやれよ?」
「・・・ああ」
なんだかんだで、信頼してるんです。
〇そして
尋「なんだかんだであっという間に行っちまったなー六のヤツ」
ほ「居ても居なくても静かなのに、なーんかネ」
春「それにしても、いきなり海の向こうなんて大丈夫なのか?言葉、通じないだろう」
「「「「「・・・・・・」」」」」
乙「急に心配になってきたである・・・」
て「だ、大丈夫だよっ!六さんだったらきっとなんとかするよ!」
秋「カタカナ語も発音できない癖に、どうに大丈夫なんですか?」
雅「あ、その点は問題ありません」
春「雅、何か知っているのか?」
雅「はい!読み書きはできるし、毎晩睡眠学習してるって言ってましたから!」
「「「「「・・・・・・」」」」」
ほ「睡眠学習、ネェ・・・」
尋「・・・おい、俺っちら本当にあいつのこと送り出して良かったのか?」
秋「もう遅いですよ」
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そんなこんなで、ブラックのトレーナーは六界です。
ナナシマにおける定住生活から漸く重い腰を上げました。
これからどうなるのか・・・主人公の使いまわしは私も初めてなので、プレイしながらじっくり考えていきたいと思います。
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