あっちの人のネタ的な何か |
オリトレ・ポケ擬のもうかたっぽ。 LG・FR2・HG(心太)・パール・ルビー・緑のあの人たちのネタ置き場。 たまにナオヤが遊びに来る。 |
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ぼくは生来どちらかというと大人しい方だ。
控えめ。というか、引っ込み思案。
ある子が一、という。
また別の子が、ゼロという。
困り果ててしまったぼくは、0.5なんていって今度は研究員さんを困らせた。
そういえば、物事を言い切ってしまうのもあまり得意じゃなかった。
誰かの後ろに隠れて、恥ずかしそうにしている子供。そんなぼくだった。
よもや、戦うなんて。
今ではそれこそ、そっちの方が嘘みたいだけど。
ぼくは、強烈な一撃に凪ぎ倒された瞬間そんなことを考えた。
こんな時に藪から棒に、と思うけど、多分走馬灯のようなものだ。かいしんいちげき、こうかはばつぐんだ。そんな言葉が頭を掠める。
実際問題、HPをがっつりと持って行かれたことだろう。がつん、とやられた脳天がくらくらした。
雅、とぼくの名前が張り詰めた空気を震わせるのが耳に届く。
いつもは硬く揺るがない表情が、少しだけ心配そうに曇っているのが見えた。
そんな顔させちゃいけないな、と思いながらぼくは足に力を入れて、踏ん張る。
「今のはちょっと効きました・・・。・・・でも、大丈夫です」
ぼくは微笑んでみせると、六界さんは険しい顔ながら頷いた。
この人の場合そういう表情自体珍しいのだけど、それも仕方ないのかも知れない。
だって、今は僕しかいないのだ。他の手札はない。
唯一にして、絶対の――絶対でなくてはならない――切り札。それが今のぼく。
それで頂点に挑むだなんて――ちょっと無謀じゃないかな、とも思うけれど、嬉しくないといえば嘘だ。ぼくでいいんですか、というのが一番大きいけれど。
弱かったぼく。
本当に大事な時に、何もできなかったぼく。
そんなぼくだったけど、今は、絶対に倒れるわけにはいかないから。
何よりも、そんなぼくに手を差し伸べてくれたあなたのためだ。
うん、まだ大丈夫。
「ぼくは、絶対に負けません」
ぼくは、振り向いて六界さんの眼を見た。
どこまでも真っ直ぐで、一切の迷いも躊躇いもない、強い眼。
決して揺るがない、引かない。
ぼくはきっと、この眼に惹かれたんだ。
だから、あなたがぼくを信じてくれるなら。
最後まで、運命を預けてくれるなら。
信じさせてください。あなたが信じてくれる、ぼくを。
この人に望まれるなら、どこまでも強くなってみせる。
何度だって立ち上がってみせる。
あの時のぼくじゃないって、ちょっとくらい自惚れても良いよね、と自分に聞いてみる。
うん、大丈夫。
さぁ――命じてください。
「いけ!雅!」
鋭い声に背を押されるように、ぼくは飛び出した。
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【補足】
・雅と六界
雅はシルフカンパニーが乗っ取られたときに研究員から託されたラプラスです。
それだけに、「助けてもらった」「恩を返したい」という思いが誰よりも強く、そのために至上主義じゃないか、というくらい六界に従います。というか他の奴らはそんなこと考えてもいないし、そこまで従順じゃない。
一方、六界は六界で、ロケット団に関しては色々思うところがあり(というか彼の人間嫌いの一要因です)、雅に対しては比較的に優しい。シナリオクリア後に一から育てて一軍加入ってくらいの特別待遇。