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あっちの人のネタ的な何か
オリトレ・ポケ擬のもうかたっぽ。 LG・FR2・HG(心太)・パール・ルビー・緑のあの人たちのネタ置き場。 たまにナオヤが遊びに来る。 
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珍しくルビーです。
ていうか・・・初?扱いにくいというよりネタが出しにくいグループです・・・。

主な登場人物
・フミ(出てないけど)・・・トレーナー。信条「道がなければ作れば良い(物理的な意味で)」
・ハヤ・・・皮肉屋でいきがってるラグラージという種族の青二才。
・リノ・・・何でもお見通し(エスパー的な意味で)。
 

『やってみなきゃ、わかんないじゃん』

 

それが、アイツの口癖だ。

アイツはいつだってそう言う。

前に登れない岩山がある時も、眼前に広がるのが途方もない道程だって時も。

無茶言ってるんじゃねえよ、と俺は思うわけだ。

だって、それ実際にやるのは全部俺らだろ。

高く積み上げられた岩を崩すのはあれで結構骨が折れたし、途方もない道程は、次の町に着くまで一週間かかった。しまいにゃ道じゃなくて海に至ってもそのまままっすぐ、なんて言うもんだからほとほと呆れた。

なあ、どうしてそこまで俺らの信じられるんだよ。

やって出来た?そんなの結果論でしかねぇ。

『やってみなきゃわかんないじゃん。いや、絶対できる!』

アイツは今日もそんなわけのわからない熱弁と拳を振るう。

そして俺は・・・今日も今日とて頭を抱える。

 

 

 

「ハヤ、ここにいたのね」

「・・・なんだ、リノかよ」

瞑っていた目を開けると、覗き込んでいるリノがいた。

ふらっといなくなった俺をリノが探しに来るのは、いつものことだから別に驚きはしない。

まあ・・・もうちょっと後に来て欲しかったってのはあるけど。

「なんだ、ってことないじゃない。本当はフミちゃんに来て欲しかったからって」

「な!?べ、別にそんなんじゃねえしっ」

寝転がっていた草原から飛び起きた。照れているとか、本当にそんなんじゃない。というか、正直なところ一番会いたくない奴だ。

かれこれ一時間も前の話。フミと盛大な口喧嘩をした。結局俺が折れる形になって収まりはついたけれど、それで気が静まるかどうかは全く別の問題で。

それで、なんとなく気まずくなって抜け出した。それが、至って単純な事の次第。

「・・・なあ、リノ」

「なぁに?」

「・・・なんでフミって、あそこまで俺らのこと信じられるのかな」

それが、喧嘩の発端だ。

俺なんて、できるなんて思ってもいないのに。いっつもそうだ。

アイツは基本的に無茶振りで、俺らは必死で。そのぎりぎりのライン。

俺らに出来なかったらどうする?

がっかりするか?失望するか?――俺は、それが一番怖い。

「ハヤってば、わかってる癖に」

「ああ?どういう意味だよリノ」

リノは、凄く綺麗な笑顔で笑った。沈む俺の周りの空気とは正反対の、凄く晴れやかなの。

でも、俺にはその「わかってる」ことがわからなかった。

「ねぇ、ハヤ。何も難しく考えることじゃないわ。すっごく簡単なことなの」

リノが、続ける。

「フミちゃんってどこまでもまっすぐでしょう」

「まあ、そうだな」

フミは、とにかく真っ直ぐだ。頭に馬鹿がつくほどの。馬鹿正直で、変なところだけ馬鹿まじめで、馬鹿に真っ直ぐ。

植物なら、麦かあすなろみたいな奴だと、常々思う。

「フミちゃんができるって言う時、それを微塵も疑わないわ。私たちが、できるって信じてなくても」

俺も、そうだ・・・。俺はそこまで自分を信じてない。高く買い被った後に、痛い目見たくないから。いや、怖いから。理由なんて、認めたくなくても、幾らでもあるけど。

俺や、リノだけじゃない。テツも、ナホも、エンも、トニも――きっとみんなそうだ。

自分をそこまで信じられる奴なんて、そういない。大抵は信じてるふりをしている奴で、あとは、タカを括ってる自惚れ屋と――。

「言うなれば、フミちゃんは震源地なのよ。フミちゃんができるって言ってくれなきゃ、私たちはきっと何も出来ないわ。そうでしょう?」

本当に、信じきれる馬鹿。それも、自分の命綱までぽんと預けちまうような。

「・・・どうしようもない馬鹿だよな」

「あら、私は好きよ?いいじゃない、馬鹿でも。その分人生楽しいわ」

「・・・だな」

あいつは、微塵も疑わない。できるって。やってみれば、絶対にできるって。

それじゃあ、証明してやらなきゃなんねえじゃん。あいつの言ってることは本当だって。

だって俺は、アイツのパートナーなんだから。

遠くで、俺とリノを呼ぶ声がした。どんどん近くなる。きっと今も、あいつは馬鹿みたいに真っ直ぐに、こっちに向かってきているのだろう。

「行こう。フミちゃんが呼んでる」

「おお」

俺は立ち上がって、土を払った。きっとこれからも、骨が折れる旅になる。

 

馬鹿真っ直ぐな全力疾走。障害物なんて、全部吹き飛ばして、でこぼこ道突っ切って。

 

でもきっと、平坦な道よりは俺らの性には合っているのだろう。

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